■文字サイズと行送り
文字サイズと行送りについて説明しましょう。
1. 「文字サイズ」って、どこの大きさ?
日本語の書きことばだけで使われる文字(=和文)には、ひらがな、カタカナ、漢字――があります。和文のフォントは基本的に、「正方形」のマス目のなかにデザインされています。
正方形のマス目のことを「仮想ボディー」と呼んでいて、仮想ボディーの1辺の長さを「文字の大きさ」としています。和文の文字組みは、正方形のマス目=仮想ボディーをすきまなく並べていくのが基本です。
一方、ラテン・アルファベット(=欧文)の場合は、ちょっと複雑。というのも、アルファベットには、上下にでっぱっている文字があるからです。
アルファベットのデザインは
- ベースライン
- x(エックス)ハイトライン
- アセンダーライン
- ディセンダーライン
という4本の基準線をもとにしています。したがって、いちばん上のアセンダーラインからいちばん下のディセンダーラインまでの高さを「文字の大きさ」としています。
なお、アセンダーラインの上にあるスペースは、「内部レディング」(internal leading)と呼ばれています。これは、アクセント記号(´`¨^)などを入れるためのスペースのこと。パーソナル編集長では、フォントの内部レディングをどう扱うか、という設定ができます。くわしくは「パーソナル編集長と“高品質な和文フォント”との相性」をどうぞ。
2. 「文字サイズ」の単位
パーソナル編集長では、文字サイズの単位として「ポイント」と「級」が選べるようになっています(「ミリ」も選べますが、文字サイズの単位としては一般的ではありません)。
◆ポイント(pt)
ワープロソフトでおなじみなのは「ポイント」(pt)です。
JIS(日本工業規格)で決められているのは「1ポイント=0.3514ミリ」という大きさ(『JIS Z 8305:1962 活字の基準寸法』日本規格協会 1962年)。かつての活字を使った印刷では、この「JISポイント」が使われていました。
現在のプロ向けレイアウトソフトでは、72分の1インチを基準とした「1ポイント=0.3528ミリ」という大きさが使われています。この大きさは、通称、「DTPポイント」と呼ばれています。
私が確認したかぎりでいえば、パーソナル編集長では「1ポイント=0.352ミリ」として扱っているようです。
◆級(Q)
DTP以前の組版専用機で使われていたのが「級」(きゅう)です。商業印刷物では、一般的に「級」が使われています。級は「クオーター」(quarter=4分の1)の「Q」なので、「Q」と書くほうが正式です。
「1級=0.25ミリ」です。本文枠やコラム枠の大きさを計算するときには、“切りのいい”数値になるほうが便利。というわけで、私は文字サイズの単位として、「級」を使っています。
級に慣れていない人のために、級をDTPポイントに換算する表をあげておきましょう。
級数(Q) | → | DTPポイント(pt) |
---|---|---|
10Q | → | 7pt |
11Q | → | 7.5pt |
12Q | → | 8pt |
13Q | → | 9pt |
14Q | → | 10pt |
15Q | → | 10.5pt |
16Q | → | 11pt |
18Q | → | 12pt |
20Q | → | 14pt |
24Q | → | 16pt |
28Q | → | 20pt |
32Q | → | 22pt |
38Q | → | 26pt |
44Q | → | 31pt |
50Q | → | 34pt |
56Q | → | 38pt |
62Q | → | 42pt |
3. よく使われる文字サイズ
小冊子や新聞などの本文で使う文字サイズは、だいたい次のような大きさをめやすにするといいでしょう。
- 小冊子で1段組みの場合……9〜10pt、13〜14級
- 小冊子で2段組み以上の場合……8〜9pt、12〜13級
- 新聞のような多段組みの場合……10〜11pt、14〜16級(「平体80%」に変形すると“新聞っぽく”なる)
4. 行送りってなに?
パーソナル編集長の行送りは、「行の上辺から次の行の上辺までの距離」を意味しています(たてぐみの場合は、「行の右辺から次の行の右辺までの距離」となります)。
パーソナル編集長の最初の設定では、行送りの単位として「%」が使われています。多くの人は、この%のままで使っているのではないでしょうか。
パーソナル編集長では、行送りの単位として「%」「ミリ」「級」「ポイント」などが選べるようになっています(「歯」という単位も選べますが、この「歯」は「級」と同じです)。
私は、文字サイズと同じ単位「級」を使っています。なぜなら、本文枠やコラム枠の大きさを計算するときに切りのいい数値になって、便利だから。
たとえば、文字の大きさ13級で、行送りを150%にしたとしましょう。このときの行送りは、
13級×0.25ミリ×1.5=4.875ミリ
パーソナル編集長は小数点第2位までしか扱えないので、行送りがこうした数値になってしまうと、ちょっとこまります。だから私は「級」を使っているわけです。
5. よく使われる行送り
行送りには、いちおうのめやすがあります。
- 本文……文字の大きさの1.5〜1.75倍
- 写真などのキャプション……行間(隣り合った行と行の間隔)が0.5〜2ミリ程度になるような行送り(10級のキャプションだったら、行送りは12〜18級)
- 見出し類……行間が1〜2ミリになるような行送り(30級の見出しだったら、行送りは34〜38級)
行送りの「級」が小数点になるようなときは、切りのいい整数にします。
たとえば、本文の文字の大きさが13級のとき。行送りを1.5倍にすると、13級×1.5=19.5級になりますよね。こんなときは、小数点のついた級は使わないで、20級という切りのいい整数にしておきます。
なお、行送りのめやすは、あくまでも「めやす」にすぎません。多段組みの新聞を作るときなど、1.5倍よりもつめたほうがみためよくしあがる、ということもあります。このあたりは、みなさん自身で、いろいろと試行錯誤してみてください。