■おさえておきたいメールのマナー9カ条

かたくるしいことはいうつもりは、まったくありません。ただ、メールにもいくらかのマナーは必要でしょう。私自身の体験をもとに、メールのマナーのあれこれをまとめてみました。ここに書いてあることをあなたが納得したら、あなた自身のやり方として、とりいれてみてください。

1. 件名(題名)は、かならずつけよう

ケータイのメールに慣れてしまったのか、件名(題名)になにも書かない“件名なしメール”を送る人がいますよね。ケータイだと特に問題にならない件名なしメールも、プロバイダー経由でやりとりするメールでは、おおいに問題となります。理由をあげておきましょう。

メールの相手が、アット・ニフティのスパム対策サービス、「迷惑メールフォルダー」を使っていたとしましょう。このサービスを使うと、スパムと判定されたメールは「迷惑メールフォルダー」にふりわけられて、メールソフトでは受信できなくなります。あなたが送った件名なしメールが相手の迷惑メールフォルダーに入ってしまったら、そのメールを相手が読むまでに時間がかかります。迷惑メールフォルダーのメールは、ブラウザーで確認しなければなりませんから。さらに、件名なしメールの存在を相手が確認しても、「迷惑メールフォルダーに入っているんだから、どうせスパムだろう」などと思われて、読まずに捨てられてしまうかもしれません。

また、メールの相手が、アット・ニフティのスパム対策サービス、「スパムメールブロック」を使っていたとしましょう。このサービスを使うと、いろいろな受信拒否条件を自分で設定することができます。もちろん、「件名なしメールを受信拒否する」という条件を設定することも可能。相手が件名なしメールを受信拒否していたら(私は実際にこうした条件を設定しています)、あなたの送った件名なしメールは、絶対に相手には届かない、ということになってしまいます。

いかがでしょう? スパムが大流行している現在、多くの人がなんらかのスパム対策サービスを利用しています。件名なしメールはスパムとみなされやすく、最悪の場合、相手に届かないこともあります。したがって、めんどうがらずに、メールの件名はきちんとつけるようにしましょう。

2. 件名(題名)は具体的にわかりやすく

特にはじめてメールを送るような相手には、内容がよくわかるような件名(題名)をつけましょう。長ったらしい件名になってもかまいません。たとえば、ネットショップに商品の問い合わせをするとき、

在庫につきまして

という件名よりは

商品番号○×の在庫につきまして

という件名のほうが具体的でわかりやすいですよね。

3. 最初に相手の名前を書こう

メールの本文の最初に相手の名前を書かない人がいます。親しいおともだちどうしならともかく、さほどの間柄ではなく、しかも用件がずらずらと書いてあるだけのメールだったりすると、印象が悪いですよね。

メールも手紙の一種。相手の名前は、メールの最初にきちんと書きましょう。

4. ことばづかいは、おしゃべりよりもていねいに

メールは「かきことば」だけのコミュニケーション。かきことばは、おしゃべり=「はなしことば」よりもかくだんに情報量が落ちます。話す調子とか、しぐさといった情報がすっぽりと抜け落ちてしまいますから。「そんなつもりじゃなかったのに……」なんて思っても、いったん送ったメールを取り消すことはできません。

これを読んだ相手はどう受け取るか――。メールでは、このことをつねに意識しておきましょう。だからこそ、メールのことばづかいは、おしゃべりよりもていねいに。これくらいでちょうどいいんです。

5. 不要な引用は削除する

返信メールを書く場合、アウトルックエクスプレスの初期設定では、元のメールの全文を署名の後ろに引用します。必要があればここから切り取って本文にはりつけるように、というお役立ち機能ですね。

ところが、この引用をそのまま残している人がかなりいます。はっきり言ってこれは不要なもの。きちんと削除しましょう。メールが長くなるだけで、なんの意味もありませんから。

ただし、仕事がらみのメールなど、たしかに受信したことを示すために全文引用しておく、という場合もあります。

6. 署名は5行以内でまとめる

行数の多い署名は好まれません。好まれない以上に、不格好じゃないでしょうか。

私は、名前とメールアドレスだけのいたってシンプルな署名を使っています。ところが、世の中にはやたらと長い署名を使っている人がいるんですよね。署名は、せいぜい5行くらいにおさめるようにしましょう。

もっとも、仕事用の署名で、職場の住所や電話番号などを入れるためにどうしても長くなる、という場合もあるでしょう。そんなときは、「5行」という枠にはこだわらず、できるだけ短くすればいいでしょう。

とはいえ、住所や連絡先を入れたとしても、5行もあれば十分なんですけどね。こんなふうに。

向坂 香織(さきさか・かおり)
e-mail:kaori@solarnet.co.jp, kaori@sakisaka.ne.jp
株式会社ソーラーネット 星間ネットワーク部調査開発室
木星ガニメデシティー1-21-10 ガリレイビル6階
Phone:03-1234-5678 Fax:03-8765-4321

7. 添付ファイルを送るときは、ファイル名やファイルの種類を書いておこう

添付ファイルを送ることもありますよね。そんなときは、どんなファイルを添付したのか、ファイル名やファイルの種類をかならずメールの本文に書いておきましょう。私はこんなふうに書くことにしています。

添付したファイルは○×.zipという圧縮したファイルです。なかみは○×.pdfで、アドビリーダーで見ることができます。

なんでこんなふうに書くかといえば、受け取った相手が添付ファイルを開けないこともあるから。開けないとき、ファイル名やファイルの種類がわかっていれば、なんとか対処できるかもしれないからです。

なお、圧縮したファイルについては、「添付ファイルはできるだけ圧縮しよう」をどうぞ。

8. 複数の相手にメールを送るときは「BCC」を使おう

たとえば引っ越しのおしらせのように、複数の相手にいっきにメールを送りたい、ということもあります。そんなときは、あて先に相手のメールアドレスをズラズラと入れるのではなく、「BCC」欄を使いましょう。

サンダーバードの場合、新しいメールの作成画面で、「宛先」と書いてある部分の左側にある下向き矢印をクリックすると、「BCC」欄を選べるようになります。

サンダーバードでBCCを表示する画像

アウトルックエクスプレスの場合、新しいメールの作成画面で、メニューの[表示]→[すべてのヘッダー]を選ぶと、「BCC」欄が表示されます。

アウトルックエクスプレスでBCCを表示する画像

BCCは「ブラインド・カーボン・コピー」(Blind Carbon Copy)の略。BCCに入れたメールアドレスは、相手のメールソフトでは表示されません(メールヘッダに記録されないから)。

どうして「BCC」を使うのかといえば、いっきにメールを送りたい複数の相手が、お互いに知り合いとはかぎらないからです。メールアドレスも大切な個人情報の1つですよね。となれば、むやみに知らない人に教えたくない、と考えるのがふつうでしょう。

だから、お互いに知り合いどうしではない複数の相手にメールを送るときは、メールアドレスが表示されないBCCを使うわけです。

なお、BCCで送るときのあて先欄には、自分のメールアドレスを入れておきましょう。

9. メールのやりとりはどこで終わらせる?

たとえば、問い合わせのメールを送るとき、みなさんはどこでメールのやりとりを終わらせますか?

問い合わせのメール→問い合わせに対する返事のメール

多くの人が、ここで終わらせているんじゃないかと思います。現実には、これだけでいいとは思うんですが、私は次のようにしています。

問い合わせのメール→問い合わせに対する返事のメール→お礼のメール

メールは、相手に確実に届いたかどうか、いまひとつよくわかりません。そんなこともあって、私は、「返事のメールはたしかに届きましたよ」という意味も込めて、上記のような“1往復半”のやりとりを基本にしています。