■自分の目に液晶ディスプレイを合わせるために

ちょっとしか見ていないのに目がとても疲れる、長時間見続けると片頭痛や吐き気がしてくる……。こんなふうに、自分の使っている液晶ディスプレイが目に合わない、という経験をした人は、世の中にどれくらいいるんでしょうか。ふつうに考えれば、あまり多くはないでしょうね。でも、広い世界のどこかには、私と似たような“弱い目”をしている人もいるはず。そこで、私の体験にもとづいた「自分の目に液晶ディスプレイを合わせる方法」をまとめておくことにしました(私がどれくらい“弱い目”の持ち主なのか、という点については、このサイトの「■目に合う液晶ディスプレイを探し続けて」にまとめておきました)。

ただし、おことわりしておきたいことが2つあります。

1つは、私は目の構造について専門的な知識を持っているわけではなく、単なる“弱い目”をしたユーザーにすぎない、ということ。したがって、ここに書いてあることは、あくまでも私個人の体験的な解決策でしかありません。

もう1つは、正確な色再現といった問題はいっさい無視している、ということ。目に合わない液晶ディスプレイと悪戦苦闘してきた私にとって、“正確な色再現”などというどこか遠いところにある基準は、優先すべき問題ではないからです。

■チェックポイント(1):見下ろすような位置に設置する

長時間見続ける液晶ディスプレイは、見下ろすような位置に設置するのが基本です。見下ろすといっても、目線がすこし下向きになるくらいでかまいません。いすや机の高さを調節して、見下ろすような位置に設置してみてください。

液晶ディスプレイの高さ調節が貧弱で、どうやっても見下ろすような位置に設置できない、という場合もあるでしょう。そういう場合は、ディスプレイアーム(モニターアーム)を使ってください(ただし、ディスプレイアームをつけられない液晶ディスプレイもあります)。

ディスプレイアームにはさまざまな製品があります。「液晶ディスプレイ アーム」で検索してみるといいでしょう。私自身は、アルファーテックの「PS-7A」と、ライブクリエータの「ARM-09EASEL」を使っています。

いずれにせよ、ディスプレイアームをつけられない液晶ディスプレイは買わないほうがぶなんでしょう。すでに購入してしまった場合は、買い替えるのがいちばんです。自分の目に“代え”はありませんからね。

■チェックポイント(2):“ツルピカ”液晶は使わない

ディスプレイの表面が“ツルピカ”になっている「光沢(グレア)タイプの液晶ディスプレイ」も多いですね。光沢タイプの液晶ディスプレイは、テレビやDVDがきれいに見られる!ということをセールスポイントにした製品。長時間の作業には向きません。なぜなら、たとえ表面に低反射コートなどのコーティングがほどこされていても、“うつりこみ”は避けられないから。白っぽい服を着ていたり、ディスプレイ正面(つまり自分の背後)の壁が白かったりすると、うつりこみは最悪になります。

目は、みえているものにピントをあわせようとします。ところが、ディスプレイに表示されているもの(アイコンとかウィンドウとか)と、ディスプレイにうつりこんでいるもの(自分の体とか背後の壁とか)とでは、焦点距離がちがいます。デジカメでピントをあわせてみるとよくわかるでしょう。つまり、うつりこみのある画面を長時間見続けると、目は、焦点距離のちがうものそれぞれにひっきりなしにピントをあわせようとして、結果として、目が疲れてしまうのです。

文章を書くなど、その液晶ディスプレイを使って長時間の作業をするなら、“ツルピカ”の液晶ディスプレイは絶対に買ってはいけません。すでに購入してしまった場合は、非光沢(ノングレア)タイプの液晶ディスプレイに買い替えてください。自分の目に“代え”はありませんからね。

■チェックポイント(3):自分の目が耐えられる画素の大きさ(画素ピッチ)を見きわめる

液晶ディスプレイでは、1つ1つの「画素」(ピクセル)の大きさが決まっています。画素とは、R・G・Bの3色をひとまとめにした小さな正方形のこと。ルーペで拡大すると見えますよね。この小さな正方形=画素が、文字やアイコンなどを表示するときの最小単位になっています。なお、画素を構成するR・G・B各色の副画素(サブピクセル、ドット)は、かならずしも長方形ではありません。したがって、ここでいう「小さな正方形=画素」は、文字やアイコンを表示するときの最小単位として想定した「仮想の(バーチャルな)正方形」と考えてください。

1つ1つの画素の大きさ(画素ピッチともいいます)は、

によって決まります。

おもな液晶ディスプレイのサイズ・解像度・画素の大きさを、表にしてまとめておきました。

おもな液晶ディスプレイのサイズ・解像度・画素の大きさ
サイズ(型)解像度(横×縦、ピクセル)と通称画素の大きさ(ミリ)画素の大きさ(ppi)
12.1(4:3)1024×768(XGA)0.240106
15(4:3)1024×768(XGA)0.29885
17(5:4)1280×1024(SXGA)0.26396
19(5:4)1280×1024(SXGA)0.29486
11.6(16:9)1920×1080(フルHD)0.134190
14.1(16:9)1366×768(WXGA)0.229111
15.6(16:9)1366×768(WXGA)0.253100
18.5(16:9)1366×768(WXGA)0.30085
21.5(16:9)1920×1080(フルHD)0.248102
23.0(16:9)1920×1080(フルHD)0.26596
24.1(16:10)1920×1200(WUXGA)0.27094

「型」はインチ(などというローカルな単位!)で、画面の対角線の長さを表しています。また、横と縦の長さの比は、横の解像度(ピクセル):縦の解像度(ピクセル)。これだけわかれば、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使って、画素の大きさを求めることができます。計算式は、下の図のとおりです。図をクリックすると、大きな画像が表示されます。

画素の大きさを求める計算式の画像

ウェブページで数式を表現するためのマークアップ言語、「MathML」でも書いておきましょう。ファイアーフォックスだと、ちゃんと表示されるはずです。

a 2 = x 2 + y 2 x : y = α : β y = x ( β α ) a 2 = x 2 + x 2 ( β α ) 2 x 2 = a 2 1 + ( β α ) 2 x = a 1 + ( β α ) 2 画素の大きさ ミリ = x α 画素の大きさ ppi = 25.4 画素の大きさ ミリ alignl a^{2} =x^{2}+y^{2}newline alignl x:y=α:β~∴y=x({β} over {α} )newline alignl a^{2} =x^{2}+x^{2}({β} over {α} )^{2}newline alignl x^{2}={a^{2}} over {1+({β} over {α} )^{2}}newline alignl x={a} over {sqrt{1+({β} over {α} )^{2}}}newline alignl 画素の大きさ(ミリ)={x} over {α}newline alignl 画素の大きさ(ppi)={25.4} over {画素の大きさ(ミリ)}

ついでに、画素の大きさを求めるジャバスクリプト(JavaScript)を書いてみました(ジャバスクリプトをオフにしている人は、「オン」にしてからこのページを読み込みなおしてください)。

以下の入力欄に、いわゆる半角文字で数値を入れてみてください。「画素の大きさを計算します」と書かれたボタンを押すと、画素の大きさを「ミリ」(小数点以下第4位で四捨五入)と「ppi」(pixels per inch。小数点以下第1位で四捨五入)で表示します。

液晶ディスプレイのサイズ:(型)
横の解像度:(ピクセル)
縦の解像度:(ピクセル)
(ミリ)
(ppi)

現在、「15型・1024×768ピクセル・0.298ミリ」を使っていて、みための違和感なく大画面の液晶ディスプレイに移行したい、という場合は、「18.5型・1366×768ピクセル・0.300ミリ」か「19型・1280×1024ピクセル・0.294ミリ」を選べばいい、ということがわかります。

どれくらいの画素の大きさまで耐えられるかは、いろいろな液晶ディスプレイを見比べて、自分自身の目で判断するしかないでしょう。

私はかつて「12.1型・1024×768ピクセル・0.240ミリ」を使ってきましたが、年齢とともに、この解像度ではだんだんと見づらくなってきました。ところが液晶ディスプレイは、ますます高解像度化=画素の極小化がすすんでいます。おそらく、液晶ディスプレイメーカーの技術者のみなさんは、年をとっても小さいものが見づらくならない、きわめて強い目の持ち主ばかりなんでしょう。

いずれにせよ、「文字やアイコンが小さいなあ〜」と思ってしまうような液晶ディスプレイは、買わないほうがぶなんでしょう。すでに購入してしまった場合は、買い替えるのがいちばんです。自分の目に“代え”はありませんからね。

◆ウィンドウズの設定を変えて、みための文字やアイコンを大きく表示する

現実には、液晶ディスプレイを買い替えられないこともあるでしょう。そんなときは、ウィンドウズの設定を変えて、みための文字やアイコンを大きくしてみてください。

ウィンドウズ7の場合、「コントロールパネル」の「ディスプレイ」アイコンをクリックすると、この画面が表示されます。

96dpiで表示したところの画像

最初の設定では「小−100%」(96dpi)になっているので、これを「中−125%」(120dpi)に変えてみてください。いったんログオフすると、こんなふうに文字やアイコンがおおきくなっています。

120dpiで表示したところの画像

もっとこまかく設定したい場合は、左側にある「カスタムテキストサイズの設定」をクリックしてください。こんな設定画面が表示されます。ドロップダウンメニューから選んだり、めもりの部分をマウスで左右にドラッグしたりして、このみの倍率をえらんでみてください。

■チェックポイント(4):輝度を下げる

一時期、液晶は暗い、などといわれた反動なのか、いまの液晶ディスプレイはとても明るくなっています。この明るさを「まぶしい」と感じる人もいるでしょう。もちろん私も「まぶしい」と感じているので、液晶ディスプレイの輝度はつねに下げて使っています。

たいていの液晶ディスプレイは、輝度の調整ができます。調整のしかたは簡単。自分がふだんよく見ている画面を表示して、いったん最低まで下げてください。そこからだんだんと上げていって、自分がちょうどいい(暗くて見づらい、ということがない)と感じるところで止めます。最低で見づらく感じなければ、最低のままでかまいません。

輝度を最低にしてもまだまぶしい、と感じてしまう場合、部屋の照明(環境光)を明るくする、という解決策もあります。部屋の照明を明るくすることで、液晶ディスプレイのまぶしさを緩和する(つまり、感じないようにする)わけですね。ただし、この解決策は、いまの部屋の照明を暗いと感じている人にとってだけ、有効です。なぜなら、快適な部屋の明るさは人それぞれでちがうから。いまの部屋の照明を暗いと感じていないなら、ムリに明るくする必要はありません。

いずれにせよ、最低輝度でもまぶしいと感じるような液晶ディスプレイは、買わないほうがぶなんでしょう。すでに購入してしまった場合は、買い替えるのがいちばんです。自分の目に“代え”はありませんからね。

◆OAフィルターを使って輝度を下げる

ただ、現実には、なかなか買い替えられないこともあるでしょう。そんなときは、「OAフィルター」を液晶ディスプレイに装着して、強引に輝度を下げるようにしてください。

OAフィルターの品質は値段に比例します。要するに、安物はダメ、ということ。とはいっても、高価なOAフィルターをいきなり買うのはちょっと……とためらってしまうかもしれませんね。

各種OAフィルターを発売している「光興業」では、同社製品の「テスト使用」を受け付けています。効果がないと感じた場合は返却すればいいので、試してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、私はかつて、光興業のテスト使用に申し込んだことがあります。購入した液晶ディスプレイがギラギラとまぶしく、目に合いそうもなかったから。ところが、申し込んだ次の日に問題の液晶ディスプレイが壊れてしまい(たぶん、初期不良だったのでしょう)、けっきょくその液晶ディスプレイは返金ということになりました。そんなわけで、テスト使用もキャンセル。私自身の体験レポートについては、どうしようもない液晶ディスプレイを購入してしまうそのときまで、しばらくはおあずけ(?)です。

なお、高級なOAフィルターのほとんどは、表面にAR(アンチリフレクション)コートがほどこされています。ARコートは、めざわりな色を反射しないようにしてうつりこみをおさえるコーティング。“ツルピカ”液晶に装着すれば、うつりこみをおさえる効果もあります。

ただし、ARコートは万能ではありません。うつりこみをおさえる一方で、「うつりこむものの形」自体は、はっきりと見えてしまいます。たとえばノングレアタイプの液晶では、「うつりこむものの形」は、はっきりとは見えませんよね。つまり、ノングレアタイプの液晶にOAフィルターを装着すると、いままではっきりとは見えなかった「うつりこむものの形」が、今度はそれなりにはっきりと見えるようになる、ということ。

したがって、

という場合は、OAフィルターでなんとかする、という選択肢は選ばないほうがいいでしょう。

■チェックポイント(5):色温度を5000〜5500Kに下げる

「色温度」(いろおんど)とは、光源から出てくる光の色のちがいを、温度になぞらえて表したもの。単位は「K」(ケルビン)。Kの数値が低いと赤っぽい光、高いと青白っぽい光、ということになります。

リバーサルフィルムで写真をとってきた人、また、デジカメのホワイトバランスについてくわしい知識のある人は、色温度についてよくご存じでしょう。おもな光源の色温度は、およそ次のようになっています(野尻健一『JAGAT認証試験のためのDTPエキスパートスーパーカリキュラム』グラフィック社 2001年 55ページより)。

おもな光源の色温度
光源色温度
北空光1万K
100%曇天光6800K
昼光色蛍光灯6504K
写真用ストロボ光5500K
正午平均光5035K
日本印刷学会推奨標準照明、昼白色蛍光灯5003K
日の出2時間後、日の入り2時間前の太陽4800K
白色蛍光灯4300K
日の出1時間後、日の入り1時間前の太陽4000K
温白色蛍光灯3500K
電球色蛍光灯3000K
100Wガス入り電球2856K

液晶ディスプレイの色温度は、部屋の照明(環境光)の色温度に合わせるのが基本、とされています。たとえば、東芝ライテックのカタログによると、同社の蛍光ランプの色温度は次のようになっていました。

東芝ライテック製蛍光ランプの色温度
光源色色温度
昼光色6700K
昼白色5000K
白色4200K
温白色3500K
電球色3000K

昼光色を使っている人は、液晶ディスプレイの色温度を6500Kに合わせておけばいい、ということになりますね。いまの液晶ディスプレイは、色空間に関する国際的な標準規格「sRGB」に対応しているものがほとんど。sRGBの色温度は6500Kと決められているので、sRGBに対応した液晶ディスプレイなら、色温度6500Kに設定できます。

とりあえず、色温度を6500Kに設定して、画面を見てください。この画面を青っぽいと感じなければ、それでOK。問題はありません。

しかし、6500Kに設定した画面を青みがかっている、と感じる人もいるでしょう。そう感じるのも当然で、環境光は、主光源だけでなく、太陽光などの外光や、壁・カーテン・家具・床……といったものからの反射光がまざりあっているからです。つまり、環境光の色温度は、主光源の色温度だけでは決まらない、ということ。

たとえば、壁はクリーム、カーテンは茶、家具は木目調、床(カーペット)はベージュ……といった部屋で、夜間に昼光色蛍光灯を使ったとしましょうか。この部屋の環境光の色温度は6500Kよりも確実に(経験的にいえば500〜1000K)低くなります。おなじ部屋で、晴天の昼間、南窓からの太陽光が主光源だとしたら、環境光の色温度は確実に5000K以下でしょう。

6500Kに設定した画面を青みがかっていると感じたなら、色温度をさらに下げて、5000〜5500Kにしてください。そうすれば、青みの抜けた発色になります。はじめのうちは赤っぽいと感じるかもしれませんが、しばらくすれば慣れるものです。

ちなみに、印刷業界では、ディスプレイの色温度を5000Kに合わせています。

色温度を5000Kまで下げられない液晶ディスプレイは、買わないほうがぶなんでしょう。すでに購入してしまった場合は、買い替えるのがいちばんです。自分の目に“代え”はありませんからね。

◆色温度をマニュアルで調整する

こまったことに、色温度5000Kがプリセットされていない液晶ディスプレイはけっこうあります。というか、色温度5000Kがプリセットされていない液晶ディスプレイがほとんどかもしれません。そんな液晶ディスプレイを使わざるをえないときは、色温度を手作業で下げてください。正確な色再現は望めませんが、自分の目のほうが大切ですからね。

まずは、いつも使っているソフトを立ち上げたり、いつも使っているフォルダーを開いたりして、デスクトップを、自分が見慣れている状態にしてください。このとき、デスクトップの一部に、グレー(#c0c0c0)がふくまれるようにするといいでしょう。グレー1色の画像をてきとうな大きさで作って、表示しておいてもいいですね。

つづいて、液晶ディスプレイのメニューで、色温度を調整します。

最初に青(Blue)を70%くらいまで思い切って下げてください。つぎに緑(Green)をじょじょに下げて、緑かぶりを抜いていきます。色かぶりは、グレーの部分を見て判断するといいでしょう。赤(Red)の数値はいじりません。

赤(Red)100%、緑(Green)85%前後、青(Blue)70%前後――で、青みの抜けた色になるはずです(まともな液晶ディスプレイなら)。%の数値はあくまでもめやすなので、いろいろと試してみてください。青(Blue)をもっともっと下げないとダメ、というケースが多いんじゃないかとは思いますが。

■チェックポイント(6):ディスプレイアダプタの色補正機能を使ってみる

さて、ここからは“正確な色再現”をカンペキに無視した話になります。

パソコンで画面表示を担当しているのは、マザーボードに“じかづけ”されている(=オンボードの)「ビデオチップ」や、マザーボードの拡張スロットに差し込まれている「ビデオカード」です。これらビデオチップやビデオカードをひとまとめにして、ウィンドウズでは「ディスプレイアダプタ」と呼んでいます。

たいていのディスプレイアダプタには、色補正機能があります。正確にいうと、ディスプレイアダプタを動かすためのソフト、「ディスプレイドライバ」が色補正機能を提供しています。タスクトレイにあるディスプレイドライバのアイコンを右クリックすると、各種設定画面を表示できます。あるいは、コントロールパネル→「ディスプレイ」→「ディスプレイの設定の変更」→「詳細設定」→「(ディスプレイドライバ名が表示されたタブ)」――と選んでいってもいいでしょう(ウィンドウズ7の場合)。

ディスプレイアダプタの色補正機能の画像

上の画面は、私が使っているデスクトップパソコンの色補正機能です(ディスプレイアダプタは「AMD Radeon HD 7540D」)。この画面では、「ガンマ」「明るさ」「コントラスト」を数値で調整できます。

それぞれの数値を上げたり下げたりすると、画面のみためは次のような感じになります。

ガンマ・明るさ・コントラストを調整したときの画面のみため
調整項目数値を上げる数値を下げる
ガンマ全体に白っぽくなる(真っ白と真っ黒はそのまま)全体に黒っぽくなる(真っ白と真っ黒はそのまま)
明るさ全体に明るくなる(真っ黒が白っぽい黒になる)全体に暗くなる(真っ白が黒っぽい白になる)
コントラスト全体に明るく白っぽくなる(中間の階調がなくなってくる) 全体に暗く灰色っぽくなる(中間の階調だけになってくる)

画面のみためをことばでいい表すのは、なかなかむずかしいですね。みなさんのディスプレイアダプタにこれらの設定があったら、ぜひ、試してみてください。

私のこれまでの経験からいえば、明るさとコントラストの調整だけでは、自分の目に合わせることはできませんでした。したがって、ガンマ調整(ガンマ補正ともいいます)のできないディスプレイアダプタは問題外、ということになります。さらにいえば、私にとっては、ガンマ値を「1未満」にできないディスプレイアダプタも問題外。特にインテル製ビデオチップは、ガンマ値の下限が「1」になっているので、私にとってはなんの価値もない製品だったりします。

実際の調整のしかたとしては、最初にガンマを下げ、次に明るさとコントラストをおなじくらい下げて、好みのみためになっているかどうか、目が疲れないかどうか、といったことを判断するようにしています。

オンボードのビデオチップのなかには、ガンマ・明るさ・コントラストを数値で調整できないものもあります。そんな場合は、拡張スロットに差し込むビデオカードを購入したほうがいいでしょう。デスクトップパソコンの場合、拡張スロットにビデオカードを差し込むと、オンボードのビデオチップは自動的に使われなくなります。とにかく、自分の目に“代え”はありませんからね。

■チェックポイント(7):「PowerStrip」を使ってみる

液晶ディスプレイでは輝度しか調整できない、ディスプレイアダプタの色補正機能はとても貧弱、でもどうしてもそのディスプレイを使いたい(あるいは使わざるをえない)……。そんなときの最後の手段を紹介しましょう。

どうしようもないディスプレイアダプタの色補正機能の画像

上の画面は、私がかつてメインマシンとして使っていたノートパソコン「ThinkPad X22」の色補正機能です。調整できるのは「明るさ」と、R・G・B独立の色曲線(ガンマ)だけ。しかも、どちらも数値では調整できません(マウスで動かせるだけ)。これじゃあどうしようもないですよね。

ところが、こんなどうしようもないディスプレイアダプタでも、なんとかしてくれるソフトがあります。

そのソフトは「PowerStrip」(パワーストリップ)。「エンテックタイワン」(EnTech Taiwan)社が開発しているオンラインソフト(シェアウェア)で、同社のウェブサイトからダウンロードできます。

ダウンロードしたファイルは、ダブルクリックしてインストール。メッセージにしたがって再起動したら、さっそくPowerStripを立ち上げてみましょう。「Quick Setup」画面に続いて、「PowerStrip Tips」が表示されます。「PowerStrip Tips」は、料金を支払ってライセンスキーを取得すれば、表示しないように設定できます。つまり、料金を支払うまでの機能制限、というわけですね。

それでは、タスクバーに表示されたPowerStripのアイコンを右クリックして、メニューの[Color profiles]→[Configure]を選んでください。こんな画面が表示されるはずです。

PowerStripの色補正機能の画面

これがPowerStripの色補正機能。さきほどの“どうしようもない”設定画面に比べると、まったくちがいますよね。ガンマ・明るさ・コントラストのほかに、なんと色温度まで数値で調整できます。私の場合、ThinkPad X22の液晶ディスプレイが青みがかっていてどうしようもなかったので、最初に色温度、次にガンマ、さらに明るさとコントラスト――といった順番で数値を下げていきました。

PowerStripでどれくらい色補正できるのか、実例をごらんください。私が使っている「ThinkPad X22」の液晶ディスプレイを、デジカメ(ミノルタZ1)で撮影してみました(以下の説明画像は、一部を切り取ったものです)。

もとの画面の画像 ディスプレイに表示していたのは、こんな画面です。白地に、グレースケール化したウィンドウズの操作画面がある、という画面ですね。

色補正していない状態で撮影したのが、下の写真です。デジカメのホワイトバランスは「昼光」(約5000K)にしました。あきらかに青みがかっていて、約5000Kよりも高い色温度であることがわかります。

色補正していない画面(ホワイトバランスは昼光)の画像

ホワイトバランスを「曇天」(約6500K)にして撮影したのが、下の写真です。まだ、青みがかってますね。ThinkPad X22の液晶ディスプレイは、sRGBが規定する色温度(6500K)よりも高い色温度になっているようです。

色補正していない画面(ホワイトバランスは曇天)の画像

PowerStripで色温度を4000Kまで下げた状態を撮影したのが、下の写真です。ホワイトバランスは「昼光」(約5000K)にしました。灰色の部分から青みが抜けて、ちゃんとした灰色になっているのがわかります。PowerStripで設定した色温度は4000Kですが、この写真から判断するかぎり、実際には約5000Kの発色になっているようです。おそらく、ThinkPad X22の液晶ディスプレイはもともとの色温度がかなり高い、ということなんでしょう。

色補正した画面の画像(ホワイトバランスは昼光)

いかがでしょう? PowerStripを使えば、液晶ディスプレイで輝度しか調整できなくても、ディスプレイアダプタの色補正機能が貧弱でも、いま使っている液晶ディスプレイを、なんとか自分の目に合わせることができるんじゃないでしょうか。

PowerStripの料金は29.95ドル。ビザ、マスター、JCBなどのクレジットカードでも支払いができます。自分の目に必要なのかどうか、じっくりと試してみてください。私はすでに料金を支払いました。PowerStripがなかったら、ThinkPad X22がメインマシンになることは絶対になかった、と断言できます。

ただ、ディスプレイアダプタによっては、PowerStripがうまく動かないこともあるんですよね。そんなときはもう、どうしようもありません。目に合わない液晶ディスプレイを使い続ける……なんてことはしないで、かつての私のように、とっとと売り払うのが正解でしょう。なにしろ自分の目に“代え”はありませんからね。

    *
自分の目に液晶ディスプレイを合わせる方法を、あれやこれやと書いてきました。私と似たような“弱い目”をしている人の役に立つことを願っています。

……と願ってはいるんですが、あれこれやってみてもまったく目に合わない、目に合う液晶ディスプレイを探して何台も買い替えざるをえない、というケースもあるでしょう。私もそうした経験をしてきましたし、現在でもしています。

いくら液晶ディスプレイが安くなったとはいえ、一部のお金持ちをのぞけば、数台買い替えるのが限度でしょう。となると、何台か買い替えてそれでも目に合わないとなってしまったら、もう、どうしようもないんですよね。

液晶ディスプレイメーカーの技術者たちにはまったく期待できないでしょうね。おそらく彼らは、マジョリティー(多数派)である“目の強い”人たちの立場に立って(そして、そうした立場に立っていることに無自覚なまま)開発しているだけでしょうから。“目の弱い”人たちの立場に立った目の専門家や技術者が出てくればいいんでしょうが、ムリでしょうね。まあ、そんな立場に立ったところで、お金にはなりませんから。

けっきょくのところ、目に合う液晶ディスプレイが見つからない場合は、パソコンなんてものを使わないのがいちばん、ということになるのかもしれません。なんともおあとがよろしくないようで。