■名刺作りでレイアウトの練習をしてみよう

実際のレイアウトは、配置するさまざまなパーツと、用紙サイズに応じて、考えていかなければなりません。したがって、冊子には冊子の、ちらしにはちらしの……それぞれのレイアウトの考え方があります。

とはいえ、レイアウトの基本的な考え方は、どれもいっしょ。となると、配置するパーツがすくなくて、用紙サイズがあまり大きくないものを作ってみれば、レイアウトの基本的な練習ができる、ということになりますよね。

配置するパーツがすくなくて、用紙サイズがあまり大きくない、といえば、そう、「名刺」。実際に名刺を作ってみることで、レイアウトの練習をしてみましょう。

1. 名刺に入れるパーツを決める

まずは、名刺にどんなパーツを入れるのか、ということを考えてみてください。名刺に入れるパーツといえば――

が一般的。これらのほかに、ワンポイントとして、ロゴマークやイラストを入れてもいいでしょう。

ここでは、以下のようなパーツを使って、名刺を作っていくことにします。

なお、名前を漢字で書きたい人は、かならず「読み」(ひらがな、カタカナ、ローマ字)を入れるようにしましょう。この漢字はかならずこう読む、というきまりは、この国の名前に関してはありません。この国では、名前に使われる漢字はどう読んでもいい、ということになっているからです。

2. 用紙の向き・文字の組み方向・いちばん小さい文字の大きさ――を決める

パーツの次に決めることは、用紙の向き、文字の組み方向、いちばん小さい文字の大きさ――です。

用紙の向きとは、たてながの名刺にするか、よこながの名刺にするか、ということ。ここでは、すなおに、よこながの名刺にしておきましょう。

文字の組み方向とは、たてがきにするか、よこがきにするか、ということ。これについても、すなおに、よこがきにしておきましょう。

問題は、いちばん小さい文字の大きさ。名刺はだれかに渡して見てもらうものですから、だれもがそれなりに読めるような文字の大きさにしておかなくてはなりません。また、手持ちのプリンターで印刷するわけですから、文字がかすれないような大きさにする必要もあります。

となると、一般的には10級が限界、ということになるでしょう。ただ、私の個人的な感覚でいえば、10級だと小さすぎますね。11級くらいにしておきたいところです。

そんなわけで、用紙の向き、文字の組み方向、いちばん小さい文字の大きさ――については、次のようにしてみました。

3. ラベルモードで新規作成

パーソナル編集長には、「ラベルモード」があります。市販の名刺用紙の書式は、このラベルモードのなかに入っています。パーソナル編集長を立ち上げたら、メニューの[ファイル]→[新規作成]を選んで、「ラベル」タブをクリック。使いたい書式を選んでみてください。

ここでは、「エーワン」→「A4」→「マルチカード(名刺サイズ)10面」を使うことにします。

ラベルモードで「マルチカード(名刺サイズ)10面」を選ぶところの画像 一覧のなかから「マルチカード(名刺サイズ)10面」が見つかりましたか? 見つかったら、「OK」ボタンを押す前に、「編集」ボタンを押してください。ラベルモードの新しい書式を作っておきましょう。

なぜ新しい書式を作るのかといえば、パーソナル編集長に用意されている書式では、ラベルのなかにあるコラム枠(ラベルコラム枠)を削除できないから。このラベルコラム枠、親切ではあるんですが、削除できないというのは、ちょっと使い勝手がよくないんですよね。

名刺用の書式を追加するところの画像 「編集」ボタンを押すと、「ラベルページ書式の一覧」画面が表示されます。そうしたら、右側にある「追加」ボタンを押してください。ページ書式名を「マルチカード10面」にして、コメント欄にわかりやすい説明を入れて、「OK」ボタンを押します。

新しい書式の設定画面の画像 「ラベルページ書式の一覧」画面にもどってきたら、新しく作成した「マルチカード10面」が選択されていることを確認して、右下の「詳細」ボタンを押しましょう。ページ書式の設定画面が出てくるので、ラベルの用途を「イメージ枠」にして、下のほうにある「断ち切り罫を引く」にチェックをつけます。

「ラベル属性」の「重ね合せ描画をする」にチェックをつけるところの画像 続いて、「ラベル属性」ボタンを押してください。「ラベル属性」画面の右下にある「重ね合せ描画をする」にチェックをつけます。

新しい書式の画像 あとは、ひたすら「OK」ボタンを押しましょう。図のような画面が表示されるはずです。この画面の左上のラベルに、実際の名刺を作っていくことになります。

ほかのラベルには作らないの?なんて思うかもしれませんが、パーソナル編集長のラベルモードでは、1つのラベルのなかみを、ほかのラベルにコピーすることができるんです。しかも、もとのラベルのなかみを変更すると、コピー先のラベルのなかみも変更される、というすぐれもの。やり方については、あとで説明することにしましょう。

4. マスターページにレイアウト用紙を配置する

「マスターページをレイアウト用紙として使ってみる」で説明したように、レイアウト用紙を作っておきましょう。

レイアウト用紙は、左上のラベルの部分だけに作ります。また、レイアウト用紙の文字の大きさは、さきほど決めた「いちばん小さい文字」の大きさにします。具体的には、次のようなコラム枠を作ってみてください。

コラム枠を左右センターに置くところの画像 このコラム枠を、マスターページの左上のラベルのなかの適当な位置に作ります。そうしたら、ラベル枠を右クリックして、メニューの[センタリング]→[左右方向]と、[センタリング]→[上下方向]を選んでください。これで、コラム枠が、ラベルの上下左右センターに配置されます。

最後に、

という作業をすれば、レイアウト用紙のできあがりです。なお、コラム枠の「左から」と「上から」の数値を、どこかにメモしておいてくださいね。

5. レイアウトの考え方

それでは、名刺のレイアウトを考えていきましょう。

どんなパーツを入れるか、ということはすでに決めましたから、あとは、

という2つについて考えていけばいい、ということになります。

◆パーツのめだたせ方とは?

パーツをめだたせるときには、どんな順番でめだたせるのか、ということを最初に考えましょう。さきほど決めたパーツのうち、いちばんめだたせたいのは、当然のことながら「名前」ですよね。こうした“めだたせ方の順番”を決めておきましょう。

ここでは、以下のような順番でめだたせることにします。

パーツのめだたせ方には、次のようなやり方があります。

フォントについては、お好みでいいでしょう。お手持ちのいろいろなフォントを使って、どんなみばえになるのか、いろいろと試してみてください。「和文フォントの基本的な使い方」も、合わせてどうぞ。

文字の大きさについては、ここにあげたような考え方を基準にしてみてください。ただし、名刺は用紙サイズが小さいので、せいぜい「ふつうに大きくする」程度にとどめておいたほうがぶなんです。

なお、文字の大きさの比率のことを「ジャンプ率」と呼んでいます。ジャンプ率が大きいと“元気な感じ”になる、ジャンプ率が小さいと“おとなしい感じ”になる――とされています。この点についても、いろいろと文字の大きさを変えて、試してみてください。

◆バランスのよい配置とは?

パーツの配置には、4つのパターンがあります。

そろえの4パターンの画像 図を見ればわかるように、パーツの先頭をそろえるのが左ぞろえ、パーツの中央をそろえるのが中央ぞろえ、パーツの末尾をそろえるのが右ぞろえ――ですね。

なりゆきぞろえというのは、それぞれのパーツが“なんとなく”バランスよくそろっている、というそろえ方。この図のなりゆきぞろえは、1行目が左ぞろえ、2行目が中央ぞろえ、3行目が右ぞろえ――になっています。統一感がないように感じるかもしれませんが、全体としては左右に開いていて、“なんとなく”そろっているように見えませんか? こういうそろえ方も、いちおう“あり”というわけです。ちなみに、なりゆきぞろえは、たてながの名刺に文字をたてがきする場合に、よく使われました。

どのそろえ方を使うかは、お好みでどうぞ。ただ、全体のバランスには注意しましょう。ぶなんな感じ(とされる)左ぞろえを使っても、右側の空白が多かったりすると、みためのバランスはくずれてしまいますから。

6. 実際にレイアウトする

レイアウトのおおざっぱな方針が決まったら、左上のラベルに、実際にレイアウトしていきましょう。文字のパーツは、コラム枠のなかに入れます。イラストは、もちろんイメージ枠のなかに入れてください。

◆パーツの大きさを決める

「マスターページをレイアウト用紙として使ってみる」では、

と説明しました。

名刺の場合、「○字×△行」にあたるのは、レイアウト用紙の組み方。ですから、レイアウト用紙の組み方を基準にして、それぞれのパーツの大きさを決めていけばいい、ということになります。

名刺のパーツを枠に入れたところの画像

ここでは、コラム枠とイメージ枠を図のように作ってみました。“めだたせ方の順番がいちばん低い”連絡先を、レイアウト用紙の組み方と同じにしています。そして、連絡先を基準として、肩書・名前・イラストのめだたせ方を決めました。具体的には、

結果として、次のようなコラム枠とイメージ枠を作りました。

ただし、「星座025.wmf」はすこし“たてなが”なので、イメージ枠に読み込んだら、イメージ枠を右クリックして、メニューの[原寸比に調整]を選んでください。これで、縦横比がもとの絵柄とおなじになります。原寸比に調整すると、幅は10.58ミリになります。

◆パーツを配置する

パーツの大きさを決めたら、今度は、パーツを配置していきましょう。パーツを配置するときは、レイアウト用紙がめやすになります。つまり、左から(あるいは右から)○字目、上から(あるいは下から)△行目――という位置にパーツを置く、ということですね。

名刺のパーツを左ぞろえで配置したところの画像

ここでは、パーツを図のように配置してみました。左ぞろえを基本とした配置です。具体的には、

それぞれのパーツの「左から」「上から」の数値は、計算して求めることになります。レイアウト用紙のコラム枠は、「左から」が18.25ミリ、「上から」が14ミリでした。したがって肩書の位置は、

ということになります。

◆左上のラベルのなかみを、ほかのラベルにコピーする

パーツの配置が終わったら、左上のラベルのなかみを、ほかのラベルにコピーしましょう。

「ラベル選択」ボタンの画像 表示倍率を「全体」にして、ガイドメニューの「各種選択」の「▼」部分をクリックして、「ラベル選択」ボタンを押します。

左上のラベルをクリックしてから、右クリック。メニューの[コピー]を選びます。

からのラベルを選択する画像 続いて、別のラベルをクリックして、黒く反転させます。さらに、[Ctrl]キーを押しながら、からのラベルを次々にクリックしていってください。

ラベルモードで貼り付けるときのメッセージの画像 黒く反転したラベルのうえで、今度は右クリック。メニューの[貼り付け]を選びます。メッセージが表示されるので、「いいえ」ボタンを押しましょう。これで、左上のラベルを変更すると、ほかのラベルも自動的に変更されるようになります。

    *
ここまでできたら、あとはひたすら試し印刷。実際に印刷して、パーツの大きさや配置をじっくりと確認して、必要なら微調整をくりかえしてみてください。

というわけで、パーソナル編集長で作った名刺のサンプルを置いておきましょう。左ぞろえ(2パターン)、中央ぞろえ、右ぞろえ、なりゆきぞろえ――の5パターンを作ってみました。

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