■パーソナル編集長と欧文フォントとの相性

パーソナル編集長は、以前のバージョンから、欧文フォントを苦手としています。

欧文フォントというのは、たとえば「エリアル」(Arial)とか「Times New Roman」(タイムズ・ニュー・ローマン)など、アルファベットだけのフォントのこと。「苦手」というのは、欧文フォントをきれいに組めない(欧文の文字間が開いたりつまったりバラバラになる)、という意味です。

私はこの問題をずいぶん前、バージョン5のころに、パーソナル編集長のメーリングリストで指摘したことがあります(「[page-ml:158] Re: ぱそ編のバージョンアップ依頼。」2001年2月5日)。でも、ほかの方はうまく組めているようでした。したがって、私のパソコンやプリンターだけの問題かもしれませんが、ここであらためて問題提起しておきます(「page-ml」は以前にあったメーリングリストで、現在はありません)。

具体的な問題提起に入る前に、例によって、私が現在使っているパソコンとプリンターの環境を書いておきましょう(なお、メーリングリストで指摘したときと現在のパソコンは変わっています。しかし、問題は解決していません)。

1. パーソナル編集長で欧文フォントを組むとどうなるのか

とりあえず、実例をあげておきましょう。下の図は、オフィス2000に付属している「ガラモンド」(Garamond)というフォントを、イタリック体にして組んだ画面表示です。イタリック体にするやり方は、「フォント選びの基礎知識(2)」をどうぞ。

パーソナル編集長でガラモンド・イタリックを組んだ画面表示の画像

「m」「o」「n」「d」の字間が開いてしまっています。また、(あとのワードと比べてみることで)「I」「t」の字間が開いていることもわかるでしょう。もちろん、レーザープリンターで印刷しても、このとおりに字間が開いたまま印刷されます。

ところが、同じガラモンドのイタリック体をワードで組むと、画面表示・印刷ともに、まったく問題はないんですよね。

ワードでガラモンド・イタリックを組んだ画面表示の画像

もちろん、オープンオフィスドットオルグの「ライター」で組んでも、画面表示・印刷ともに、まったく問題はありません(だれでも無料で使えるオフィスソフト「オープンオフィスドットオルグ」については、「OpenOffice.org日本語プロジェクト」をどうぞ)。

ライターでガラモンド・イタリックを組んだ画面表示の画像

要するに、現在のパーソナル編集長では、欧文フォントをワードやライターと同じように組むことができない、ということ。おそらく、パーソナル編集長側になにか根本的な問題があるんでしょう。私のところだけで起こる現象なのか、それともみなさんのところでも起こる現象なのか、とても興味があります。気が向いた方はぜひ、私までくわしい情報をお知らせください。私のメールアドレスは「このウェブサイトについて」をどうぞ。

2. パーソナル編集長と“相性のいい”欧文フォントは?

パーソナル編集長で作る文書の内容によっては、欧文フォントをまったく使わずにすませることも可能でしょう。とはいえ、せっかくウィンドウズや各種のソフト、レーザープリンターなどに付属してくる欧文フォントを、まったく使わないというのも損な話。そこで、パーソナル編集長でもそれなりに組める“相性のいい”欧文フォントを探してみました。

パーソナル編集長とおもな欧文フォントの相性
フォント評価コメント
Arial字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Arial Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Arial Bold字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Arial Bold Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Arial Blackワードとほぼ同じように組める。なお、「Black」(ブラック)は、ボールドよりも太いデザインのこと。
Arial Narrow×字間がつまりすぎ。なお、「Narrow」(ナロー)は、字幅をほそくしたデザインのこと。
Arial Narrow Italic×字間がつまりすぎ。
Arial Narrow Bold×字間がつまりすぎ。
Arial Narrow Bold Italic×字間がつまりすぎ。
Book Antiquaワードとほぼ同じように組める。
Book Antiqua Italicワードとほぼ同じように組める。
Book Antiqua Boldワードとほぼ同じように組める。
Book Antiqua Bold Italicワードとほぼ同じように組める。
Bookman Old Style字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Bookman Old Style Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Bookman Old Style Bold字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Bookman Old Style Bold Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Century字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Century Gothic字間がつまったり開いたりしているが、まあ許容範囲。
Century Gothic Italic字間がつまったり開いたりしているが、まあ許容範囲。
Century Gothic Bold字間がつまったり開いたりしているが、まあ許容範囲。
Century Gothic Bold Italic字間がつまったり開いたりしているが、まあ許容範囲。
Comic Sans MS字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Comic Sans MS Bold字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Courier New字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Courier New Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Courier New Bold×字間がつまりすぎ。
Courier New Bold Italic×字間がつまりすぎ。
Franklin Gothic Mediumワードとほぼ同じように組める。
Franklin Gothic Medium Italicワードとほぼ同じように組める。
Garamond字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Garamond Italic×字間がつまったり開いたりしている。
Garamond Bold字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Georgia字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Georgia Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Georgia Bold字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Georgia Bold Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Palatino Linotypeワードとほぼ同じように組める。
Palatino Linotype Italicワードとほぼ同じように組める。
Palatino Linotype Boldワードとほぼ同じように組める。
Palatino Linotype Bold Italicワードとほぼ同じように組める。
Tahoma字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Tahoma Bold×字間がつまりすぎ。
Times New Roman字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Times New Roman Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Times New Roman Bold×字間がつまりすぎ。
Times New Roman Bold Italic×字間がつまりすぎ。
Trebuchet MS字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Trebuchet MS Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Trebuchet MS Bold字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Trebuchet MS Bold Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Verdana字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Verdana Italic字間がつまっているが、まあ許容範囲。
Verdana Bold×字間がつまりすぎ。
Verdana Bold Italic×字間がつまりすぎ。

「評価」の「◎」は「これくらいならいいんじゃないの?」、「○」は「しかたないけど、まあいいか」、「×」は「ダメ」――という意味。主観的でおおあまな評価です。

私自身が使っている基本的な欧文フォントは、セリフ系だと「ブックアンティーカ」(Book Antiqua)、サンセリフ系だと「エリアル」(Arial)。満足できる文字組みにはならないことを承知のうえで使っている、というのが実情ですね。

なお、「パーソナル編集長と“高品質な和文フォント”との相性」でも書いたように、欧文フォントを使うときには、「欧文フォントの内部レディング部を行の始まりに含める」にチェックをつけてください。

3. もっとほかの欧文フォントを探すには?

欧文(ラテン・アルファベット)は和文(ひらがな・カタカナ・漢字)に比べてはるかに文字数がすくないので、欧文フォントは和文フォントよりもはるかにたくさんの種類があります。ウィンドウズや各種のソフト、レーザープリンターなどに付属してくる欧文フォントでは満足できない、という人には、深沢英次&インプレス編集部『改訂4版 TrueTypeフォントパーフェクトコレクション』(インプレス 2008年 2980円+税)をおすすめしておきましょう。オンライン書店で購入できます。

『TrueTypeフォントパーフェクトコレクション』には、欧文TrueTypeフォントが500書体収録されています。紙の書籍自体は欧文フォントの見本帳になっていて、欧文フォントはふろくのCD-ROMに収録されています。

収録されている欧文フォントは、アメリカのビットストリーム社が製作したもの。ほとんどのフォントが「ファミリー」で収録されているので、便利に使えるでしょう。

ちなみに私は、1つ前の「改訂3版」を購入しました(笑)。500書体全部は使っていませんが、たとえば、パーソナル編集長ではきれいに組めない「ガラモンド」(Garamond)の代わりに、同書に収録されている「クラシカル・ガラモンド」(Classical Garamond)を使う、といった使い方をしています。

    *
最後に、欧文フォントの組み見本を置いておきましょう。いずれも、プリンタとして「Antenna House PDF Driver 3.2」を選んで、「フォント埋め込みのPDF」にしました(Antenna House PDF Driver 3.2のプロパティは、「フォント埋め込み」にしています)。リンクをクリックすると、ダウンロードできます。例によって、lzh形式の圧縮ファイルになっていますので、ダウンロードしたら、解凍してください。解凍のしかたがわからない、という人は、「クルミノ コーボー」のコンテンツ「メールとウェブのお役立ちメモ」「『zip』じゃない圧縮ファイルを解凍する」をどうぞ。